APSがAdvancedPhotoSystemの略であることを知っている人は少なくなってしまったのではないでしょうか。いや、そもそも普及しなかったから市場から消えてしまったのでしょうから知っている人は少数だったのでしょう。現像済みのフィルムが100本以上残っていますが、これを今プリントしてくれるお店はあるのでしょうか?
デジタルカメラにおいてAPSサイズという言葉だけが使われています。正確にはAPS-Cサイズです。そもそものフォーマットはAPS-Hという16:9のハイビジョン比率のフィルムです。これの左右をトリミングするのがAPS-C、上下をトリミングしてパノラマプリントするのがAPS-Pとなっていました。
その情報はフィルムに磁気記録されて、カートリッジから読み出しTVに表示する装置まで作られました。これも一時期所有していました。現像済みのフィルムを直接は見ることができませんから何が写っているか確認するためのビュアーもありました。これは日付やF値やシャッタースピード等、現在のEXIFのような情報も磁気記録されるので後から確認できました。これを見ながらフィルムスキャナーにAPSホルダーをつけてせっせとデジタル化していました。
私はいずれすべてAPSに変わるのではないかという幻想を持ち、APSカメラを買ったのでしたが、デジタル化のスピードはこの規格を作ったメーカーの思惑を遥かに上回る速さで進んだのでした。最初はCanon IXYでした。そして一眼レフではCanon IXEが欲しかったのですが、PENTAX MZ-3と比べてレンズの魅力に勝てずMZ-3を買いました。しかし、後にIXEは手に入れることになります。
そして、憧れのCONTAX Tixは随分経ってから中古で購入したのでした。
当時、T3にするかTixにするかで悩んだ記憶があります。T3の方が高かったことと、デザインがTixの方が好みだったのでTixにしました。T3にしておけば、そして、今まで所有していれば高く売れたのにとも思いますが、どうもT3は好きになれませんでした。
上部に液晶を持たないために、上カバーをもつカメラらしい構造になっています。また、フラッシュの位置が液晶のせいで下にズレていません。ファインダーやフラッシュの下に継ぎ目のラインがアクセントになっていて、T2に似ています。
そして、レンズ周りに装備された絞りのリングはシリーズ唯一で、コンパクトカメラなのに絞りを意識した撮影ができました。
レンズ鏡筒には30.5mmのフィルターネジが切られていてフィルターやフード、フードキャップが用意され、それらを付けてドレスアップしたものでした。
私のTixは中古でボティ前面に擦れもあったので、T2っぽく自分で貼り革を張ったりしていました。
個人的にはTシリーズ中もっともかっこいいカメラだったと思います。手にした時の高級感もTvs DIGITALに比べ剛性感があって、外装の厚みを感じました。最後は30.5mmのオプション類(T3でも使えた)のオマケとしてヤフオクで売られてしまったTixですが、思い出に残るカメラです。